春の味覚を味わう

ベテラン蔵人の滝さんに連れられ、週末、山菜採りに行ってきました。滝さんは蔵では洗米浸漬担当をされていますが、プライベートでは山菜料理はもちろん保存食作りの名人でもあります。

どんどん山のなかに分け入っていく男性陣。

たらの芽を採ろうとして、とぐろを巻いているへびと遭遇したり。なんてこともありつつ…。

                    わらび

                 あけびのつるの新芽

                    うど

                  ぎぼうし(ウルイ)

                    のびる

などなど…を採取。春の山ってほんとうに豊かですね。

鳥取に限らず地方で暮らすとき、ただ受け身で外に刺激(娯楽)を求めれば「なんにもないよー」ってことになるのかもしれないけれど。自分で楽しみを見つけて手を動かすことが好きな人にとっては、そこはそれこそ宝の山のような場所になりうるのかもしれません。

これらの山菜は後日、青谷の公民館で地元のみなさんと調理し、こんなごちそうに姿を変えました。山菜料理はとにかくアク抜きなど下処理に手間がかかるし、だんだんこういうことをする人は地元でも減っていくのかな…と思ったり。

面倒でも食べる人を喜ばせたい、おいしい顔が見たいという強い気持ちがないと出来ない作業。教われるときに教わっておかないとです。

あけびのつるの新芽の和え物。これとっても美味しい。滝さんが事前になんども水を替えて、アク抜きしてくれていたからこその味。

天ぷらは「はい、これはたらの芽。これは嫁菜(ヨメナ)ね」と揚げたてが配られます。

今回、山菜採りの途中に飛びだした滝さんの名言。「本当にうまいもん食べよう思ったら、楽(らく)しとったらできりゃせん」。その通りだと思います。これは料理にも酒造りにも共通するところかと。

最初はビールを飲んでいた方々も、山菜を食べながらだとやっぱりお酒が飲みたいねってことで、このあとやかんととっくりを出してきて、お燗もつけたり…。

山菜のほろ苦さと一緒にお酒をいただくのは、なによりの春の贅沢。次回は「秋に自然薯掘りに行こう」と言われたので、また隊長(滝さん)についていこうと思っています。

                    (食と酒の実験室 山根明子)