蔵まかない

きょうで住み込みの蔵人さんがゼロになり、これからの作業は通いでの蔵仕事。ということで、蔵人さんのごはんを担当するまかないチームは、本日をもって次の造りが始まるまでは一時解散です。

蔵の台所の窓からは二羽のツバメの姿が見え、まわりの山の緑も濃くなって春を通り越して初夏のような天気となりました。

今期はまかないの相棒さんのおかげで、夕飯と朝ごはんは手作りの食事を出すことが出来ました。(お昼はお弁当なのです)

造りの時期は、蔵人さんはほとんど外に出ず蔵にこもりっきりの生活になるため、食事と晩酌のお酒は唯一の楽しみ。冬場は食べて体があったまる料理を、豪華でなくても季節の変化を感じるものを、野菜は多めに食べたい…、夜はツマミになるものがあるといい、など杜氏さん、蔵人さんのリクエストも聞きながら、手さぐりで始まったまかない作り。

これまでの当たり前を変えるときには、何事もすんなりスムーズにというばかりはいかなくて。人とぶつかることもあったり、よかれと思ったことが相手にとってはそうでもなかったり…と難しいこともあるわけですが。

あまり下手な遠慮はせずに、素直に本音を伝えあうことでしか結局は前には進んでいけなくて。ぶつかることも決して悪いことばかりではない…と思えるようになったのは収穫でした。

すぐに答えなど出なくて、模索することしかないことだらけの人生ですが。

まかないの支度をするときは、私たちは造りに加わることはできないけれど「体しんどいだろうけど頑張って」であったり「きょうも一日お疲れさまです」の気持ちをこめて料理を作るようにしています。どれだけ伝わっているかはわからないけれど(笑)。

写真は、今年の正月。蔵の会所場(かいしょば)でおせちを囲んでの一コマ。

なんだかもうずいぶん遠い昔のことのように感じます。

なにはともあれ、ごはんを作って食べてもらえる人がいるのは喜びです。次の造りの時期には、どんな顔ぶれになるのやら。

なるようになる。なるようにしかならん、ですね。

                    (食と酒の実験室 山根明子)