梅雨いり

梅雨いりしましたね。梅雨(ばいう)とはよくいったもので、6月は梅仕事の季節。

先日、梅雨の晴れ間に私が「八頭(やずと読みます。鳥取東部の地名)のターシャ・テューダー 」と勝手に心のなかで呼んでいる内田桂子さんにお声かけいただき梅もぎに行ってきました。

桂子さんは、山根酒造場の鍛造シリーズ(鍛造生もと強力や鍛造にごり)の酒米を作ってくださっていた内田寿郎さんのお母さんで、植物を育てたり保存食を作るのも上手な生活名人です。

毎度うかがうと庭の植物を丁寧に説明したり、自然との付き合いかたの知恵を教えてくださいます。この日も「こんなの知ってる?」ととても嬉しそうに八重に咲くドクダミを見せてくださいました。わっ!初めてみたけど、なんともいえず可愛らしい。

ご自宅の前の庭では、トマトやさやえんどう、わけぎなどパッと収穫してはすぐに食べられる野菜を米ぬかを肥料がわりにして育てておられて。「売ってる肥料をあげるとたしかに大きくは育つんだけどトマトも皮が硬くてね。おいしくないの。米ぬかやって育てるとやわらかくて美味しいのよ〜」とキラキラした目で話されます。

「農薬を使う農家さんも多いけど、虫が逃げるようなものは本当は人間にもよくないよね。人生の最後のときにスーっと楽に死ぬためには逆算した生き方をしないといけないと思ってるの」「あとは生きている間にはしんどいときもあるけれど。どんなときも自分なりの楽しみを見つけることね」と言われていました。

逆算した生きかたか…。さらっとすごいことを言われるものだと思いながら、帰ってきました。

私は無農薬で育てた梅を収穫するときに呼んでもらって、言ってみればいいとこどりで。ここまで育てるのはなんだって大変だろうことくらいは少しは想像できるので、自分がやっていないことを簡単に否定できる立場でもないけれど。

やはりいろんなお酒をのんでも、舌でうまいだけでなく体にスーっとひっかかりがなく入っていく酒にはそれなりの理由があることは体験的にわかってきました。

内田さんが愛情かけて育ててくださったこの無農薬梅で、おいしい梅干しをつくろう!

そういえば桂子さんが「最近の子どもたちのなかには梅干し見ても唾液が出ない子がいるらしい」と言われていてビックリしたのですが。なるほどそう言われてみれば、この頃スーパーなどで売っている梅干しは、なぜか蜂蜜につけたようなのも多いですね。減塩減塩といわれる世の中ですが、私は梅干しは昔ながらのちゃんとすっぱくてしょっぱいのが好きです。

あー、考えただけで唾液が出てきてしまいました(笑)。

さてさて、桂子さんの教えを胸にお天気の日にはお天気なりの、雨の日には雨の日なりの楽しみを見つけながら梅雨のこの時期も機嫌良く過ごしたいものでございます。

最後に…。

「食と酒の実験室」という名前をつけておきながら、鳥取に帰ってきてから食の生産の現場をまだまだ全然知らないことに気づきました。

山根酒造場の酒は「食に寄り添うお酒」です。酒だけでなく肝心の食も充実していないと、互いの良い関係は作れない。

そんな思いがあり、今年の後半からは私個人の仕事としては地元の食と向き合うことに比重をかけ、自分の得た経験をこちらでもシェアしていきたいと思っています。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

                       (食と酒の実験室 山根明子)