攻めてる串揚げで一杯

東京時代にお世話になった友人や仕事仲間から「鳥取に遊びに行くから美味しいお店を探しておいてね」と言われることがよくあります。

十数年ぶりに鳥取に帰ってきて思うのは、人口がこれだけ少なく交通の便もよくない車中心社会で(飲んだら代行で帰る覚悟が必要)。かつスーパーでも手頃な値段で新鮮な食材が手に入る地方で飲食業を続けていくのは本当に至難の業だということ。

しかしそんな状況下で生き残っておられるだけあって「ここは、すごい。鳥取まで来たならぜひ食べていってほしい」と思うお店との出会いもあったり…。

今回は私にとってのそんなお店のひとつ。「旬の串揚げチくべ」をご紹介。

名前の通り、旬の食材を使った創作串揚げが味わえるこのお店。とにかく毎回、メニューボードを見るのが楽しみです。

 40を過ぎてからというもの、揚げ物は下手な店で食べると必ず胃がもたれるので要心しないといけないジャンルなのですが、ここの串揚げはとにかくサクっと軽い仕上がりで、油にもきちんと気を配っておられるのがわかります。

おまかせコースで頼むと一品一品丁寧に下ごしらえされた串揚げを、全体の流れも考えちょうどいい頃合いを見計らって出してもらえるので、我が家は基本おまかせで。(写真では串揚げを3品並べて写しましたが、実際にはアツアツの一口サイズの串揚げを一品ずつ出してくださるので、毎度それぞれの味に集中できます)

サクッと揚がった衣の食感の後に、とろりとろけるゴマ豆腐の風味や、ねっとりした干し柿の甘味が追っかけてくるのを味わいながら、お酒を一杯。

干し柿の串揚げには、ワインでなく純米酒のお燗のほうがよく合うなぁー、なんて発見もあったり。

 うちではやらない食材の組み合わせが味わえるのも、やはり外食ならではの醍醐味。おー、これは店主の池ノ内さん、攻めてるなぁ(挑戦してる)と食べていてワクワクするのです。

ご本人いわく、店で扱うお酒のセレクトにはまだ少し迷いがあるようですが、手をいれられる課題があるということは、さらに成長するのびしろもあるということ。これからがますます楽しみなお店です。

 旬の串揚げチくべ
住所 〒680-0833 鳥取県鳥取市末広温泉町451
営業時間 18:00~22:00
定休日 日曜・祝日
電話 0857-24-7032

※基本おひとりでまわしておられるお店なので、あらかじめ予約をしてもらえると助かるとのことでした。

                                                              (食と酒の実験室 山根明子)