「蕎麦屋で飲む」というと、焼き味噌に板わさに出汁巻き卵…。そんなツマミを思い浮かべるところですが、想像の一歩も2歩もうえをいく満足感を与えてくれるお店が鳥取にはあります。
その名は、手打蕎麦「かわぐち」。30代のまだお若いご夫婦ふたりで営業されているこのお店。
料理、お酒、お店の雰囲気、器のセンス、そしてなにより接客が気持ちいいこと。これらはお店選びをするときの基準になると私は思うのですが、かわぐちさんは伺う度にトータルでのサービスの高さと店主の飽くなき料理への向上心に刺激を受けて、こちらもちゃんとしないといけないなと背筋が伸びる思いがします。
この日は、夜のコースをいただきました。
まずは、彩りも春らしい旬のお野菜の料理から始まるところが心にくい。
少し塩を効かせたそば湯にごま豆腐が気持ち良さそうに浮かんだ椀もの。究極にシンプルで、どうにもお酒を誘います。
からすみが菜の花のようで美しい。オリーブオイルでは少し風味が強いのでということで米油で蕎麦を和えた一品。
脂のノリもちょうどいい旨味たっぷりの合鴨ロースに、かわぐちさんお得意の海苔巻き、地物のさくっと軽い穴子の天ぷらに、待ってましたのお蕎麦と続き…(肝心のおそばの写真を撮り忘れ!)。
最後は、自家製あんこの最中とお茶で〆。
こちらのお店、日本酒はうちのお酒以外にも辨天娘、鷹勇を置いておられて、お燗の温度もぐぐっと思い切りがいいのがとっても嬉しいところ。
誠実でどこまでもストイックなのだけど、醸し出す雰囲気はとても穏やかで温かい。こんな飲食店さんが鳥取にあることを誇りに思います。この日、社長は「きょうはこのあと、何も余計なものを体のなかに入れたくないなー」と言っていましたが、まさにそういう気持ちになるお料理と、お二人の笑顔に会いにどうぞお店を訪ねてみてください。
住所 鳥取市栄町204
電話 0857-30-5705
定休日 月曜日
営業時間 11:00~14:00 18:00~21:00
夜はコース(予約のみ)
※夜のコースは2名様より 4.860円(税込)からとなります。内容、料金などは相談に応じるとのこと。ご予約は2日前までにお願いします。
(食と酒の実験室 山根明子)