かくしてイベント当日お燗酒を出すことは確定したのですが、最終的な目的地は、参加してくださったおひとりおひとりが自分で家でお燗酒ライフを楽しめるようになってもらうこと。
…となると、よくお酒のイベントであるような、酒蔵スタッフや飲食店さんはたまた酒屋さん(いわゆるお酒のプロ)がお燗をつけて手渡すスタイルでやってしまうと、これは至れりつくせりすぎてお客さまが完全受け身になってしまう。
「あー、美味しかった!やっぱプロにつけてもらうと旨いなぁ…」
以上。
で終わってしまって後に続かない。
で、あれば今回2部のスナックではお酒はガラスの瓶とっくりに注いで渡すのみ。
あとは家でも試せるいろんなお酒を温める道具を用意しておいて、参加者ご自身にお好みの温度でお燗をつけること自体を面白がってもらう仕組みをつくろう!
そんなことを考えて、会場の中央テーブルに「フリー燗酒スペース」なるものを用意しました。温める道具はおでん鍋に土鍋、ティファールに、電子レンジ…などなど。
それでも不安なことがあれば、プロに聞いてということでお燗番(かんばん)スタッフを、元純米スナックのママのケイさんと、レンガ亭で日々お燗をつけているアスカさんの二人が引き受けてくださり心強い限り。
「家でお酒を温めるのにそんなに難しいこと考えなくてもいいのよ。このお酒は何度かいいかっていきなり正解を聞くんじゃなくて、温めてのんでまだぬるいなと思ったら、もう一度チャポンと鍋に戻せばいいんだから」
ほんと、その通りです!
なぜかみんな必要以上に失敗することを恐れ過ぎ。大阪の串揚げの二度漬け禁止のようなルールは、燗酒にはありませんので心配しなくて大丈夫〜(笑)。
おおらかなお燗番に見守られながら、「はじめて自分でお酒を温めてのみました。あったかくて美味しい〜」と嬉しそうに話すお客さまの笑顔や、はじめて会った方同士が「もうちょっと(温度)あげたらどうかな?」なんて話している様子を見て、思わずこちらもニヤリ。そして心のなかでちいさくガッツポーズ。
一度自分でお燗をつけてみると、今度は外食でお酒をのんだときにプロのつけるお燗のすごさや有り難みがわかったりもして。また新たな発見もあって面白いですよね。(つづく)