山根酒造場で二シーズン蔵人として務めてくださったキクチさんが、鳥取駅近くで、昨日お店をオープンされました。
店の名は「砂丘屋」です。
キクチさんと最初に会ったのは、まだ自分も東京にいた頃。キクチさんも、その頃は荻窪で飲み屋をされていて、「砂丘屋」という名前からしてどう考えても鳥取の人っぽいし。同郷の人がどんな店をやっているのか興味もあって行ってみたら、料理も美味しくて友人も誘って足を運ぶようになりました。
それからしばらくして、一足先にキクチさんが鳥取に帰り。その後、まさか自分も鳥取に戻ることになろうとは思ってもいなかったし。それ以上にまさかまさか同じ蔵で働くことになろうとは、さらに思わなかったけれど。結果、そういうことになりまして(笑)。
人生とは、本当にわからんもんです。
久々に食べたキクチさんの料理は、やっぱり滋味深くやさしく繊細で。外食なんだけど、ちょっとほっとするようなお母さんの味が混じってて。「あー、これこれ。この味」って、心のなかで思いながらいただきました。
メニューには「湯のみ酒」なんてのもありまして。造りの時期、蔵でお酒をのむときは盃ではなく湯のみにどぼどぼお酒をついで飲むことの方が多く。だんだんそのほうが気楽で不思議と落ち着くようになるのですが、そんな飲み方もここでは楽しめますよ。
店内はキクチさんの愛車のバイクと同じ色のグリーンをベースに、壁にはかわいい手描きの文字(これもキクチさんの力作)で料理名が書かれていたり。奥にはちいさいカウンター席もあったりで。女性ひとりでもフラっと立寄りやすい飲み屋さんが鳥取に出来たのは、本当に嬉しいです。
キクチさん自身、日本酒については十分詳しいけれどそれを押し付けず、それ以外の飲み物も充実しているのも、よろしいかと。(日本酒に興味はあるけど、そればっかりだと初めはハードル高いよってかたも多いですもんね)
そうそう、むかしキクチさんが荻窪で店をやっていた頃に言ってた言葉で「お酒飲めなくても、料理食べにだけでも来てほしいんだよね」っていうのがあって。今回もそんなお店だと思います。
住所は鳥取市今町2丁目219チョコビル1階。Y pub&Hostelのすぐ近くです。遠方から来られるかたは特に、飲み屋と宿が目と鼻の先なのは嬉しいですよね。
気が向いたら、ぜひ寄ってみてください。
(食と酒の実験室 山根明子)