東京都台東区谷中にあるHAGISO(HAGICAFE)のお二人が、倉吉のCOCOROSTOREさんに案内されて山根酒造場を訪ねてくださったのは去る2月のこと。なんでも「旅する朝ごはん」というシリーズ企画をしていて、日本各地の美味しい食材を発掘し、食で日本を巡る和食の朝ごはんを作って提供している。2018年の春夏(3月からスタート)は、「鳥取の朝ごはん」をテーマにしているので、そこで山根酒造場の熟成純米酒粕「無垢」を使ってみたいとのお話でした。
実際にお会いしてみたHAGISOのお二人はというと、とてもお若いけれどしっかりと意志をもった目をされていて。いま食というものが極端に二極化していて安いことが一番の価値のようになっている面もあるけれど。それが当たり前になってしまうことは、食材をつくる人にとっても、料理をする人にとっても、巡りめぐってお客さまにとっても本当に幸せなことなのか?ということを真剣に考えておられる様子が伝わってきました。
そしてそういう現状に不満や愚痴をいうだけでなく、当事者意識をもって自分たちなりの一歩を踏み出しておられるところがとても共感できて、うちで出来ることがあればご一緒したいと思った次第です。
食材が生まれた背景を自分たちの目で確認し、そしてそれをお客さまに丁寧に伝えながら料理を届けることで消費者と生産者をつなぐ健全な循環を生んでいく。自分達だけが得をすれば、何がどう作られているかなんて関係ない。そしてそれを食べた人の体がどうなっても関係ないというような損得勘定だけの世界観からでは伝わらない何かが伝わるような気がしています。
山根酒造場の酒粕は、旅する朝ごはん(鳥取編)のメニューで「鶏もも肉の熟成酒粕漬け」として味わっていただけます。そのほかのお料理もとっても美味しそうなので、ぜひご興味がおありな方は足を運んでみてください。(そのほか、HAGISOさんの2店舗目のTAYORIでは当蔵の酒粕を使ったお惣菜やお菓子の販売なども計画中。こちらも楽しみ。)
私も朝ごはんを食べに、是非お邪魔してみようと思っています。会期中は熟成純米酒粕「無垢」の販売もしてくださっていますよ。(諸々詳しくは、HAGICAFEさんにお問い合わせください)
最後にTAYORIのコンセプトがまた良いので、ご紹介。
「TAYORIは、「食の郵便局」です。HAGISOの朝ごはんをきっかけに知り合った日本各地の地域性を反映する野菜や加工食品、調味料の「作る人」と、谷中に住む、訪れる「食べる人」の間にあって、食を通じたコミュニケーションの場となります。ひとつは、「作る人」からの食の「便り」をその想いとともに編集して「食べる人」にお惣菜やお弁当として届けます。もうひとつは、「食べる人」からの感謝の手紙をTAYORIが受け取り、「作る人」に送ります。両者の健全な関係性を築き、安心して食べられる食材を使った日常の食事を提供することで、地域の「頼り」となることを目指します。」
(食と酒の実験室 山根明子)