蔵の記録

酒の味は、季節とともに、時間とともに、変わってゆきます。鳥取・青谷在住の写真家がフィルムに収めた“醸の時間”です。

「つなぐ」酒・継ぐもの・往くもの©Konosuke Inoue

井上耕之介(撮影・構成)

現代の日本伝統産業において「つなぐ」とはどういうことなのだろうか。去りし日、鳥取県因幡地方で無農薬の酒米を作りつづけた方が亡くなり、そしてその酒米で大切に日本酒を造り続けた杜氏が引退された。日本酒造りに携わる男達は、一年の天候を肌で感じ、真冬の寒気の中と室温30度の麹室を行き来しながら、黙々と一歩一歩、一喜一憂しながら日々を重ねていく。そんな日本酒造りの世界で生きる人々の姿を撮影してきた。この世界には、継ぐものとともに受け継がれるもの、去るものとともに消えゆくものがある。一粒の種から人の微笑みに変わるまで、淡々と大切にくり返される彼らの生き方と道具が「つなぐ」ことの意味を語りかける。 動画冒頭より

井上耕之介(写真家)

1964年鳥取市青谷町生まれ。青谷町の井上写真館4代目。日本写真映像専門学校卒業。岐阜県飛騨高山の細江光洋氏に7年間師事。帰郷後、井上写真館を継ぎ、ライフワークとして鳥取砂丘や酒造りの現場の撮影を始める。鳥取に根ざしたフォトグラファーとして土地に流れる固有の時間を記録しつづけている。2016年東久邇宮文化褒賞受賞。

(オフィシャルWeb:井上写真館

(井上耕之介作品:井上耕之介 Photo Works

*井上さんのご好意により当ホームページに掲載するものです。約十年に渡って、定点観測をするように移りゆく蔵の風景を記録してくださった井上さんに深く感謝いたします。