蔵人募集

面倒くさいの一歩先にある面白さ
酒造りの世界へ

山根酒造場のある鳥取市青谷(あおや)町は、鳥取空港から車で25分、最寄り駅のJR青谷駅からでも8分と、鳥取でも決して便利とはいえない隠れ里のような場所にあります。びっくりされる方もありますが、いまもこの町にはコンビニはありません。高齢化と急激な人口減少により駅前の商店も近年はずいぶんひっそりしています。

「なにもないところだよ」とこの地で育った人は時に口にします。
 しかし目に見えない菌や酵母、発酵という自然のプロセスに寄り添うことが仕事の酒造りの観点からすれば、情報からほどよく離れたこの場所は、生き物としての五感を活かせる恵まれた土地と言えるのかもしれません。

山根酒造場がこの土地で酒造りを始めて130年。日本酒好きの間では純米酒王国と呼ばれる鳥取でさえ、1998年には30あった酒蔵も今では18に減り、地域の伝統産業はいつまでも「あって当たり前」という時代ではなくなりつつあります。

でもだからこそ「酒蔵というものづくりの現場を一緒に盛り上げたい」「鳥取の風土を映し出すやりがいのある仕事がしたい」といった気概のある方とこの伝統をひきつぐ仕事をしていきたいと思っています。

ひと言で酒蔵の仕事といっても職種は色々ありますが、今回募集するのは日本酒を造る工程に直接たずさわる「蔵人(くらびと)」です。酒造りの工程は、9時~5時のオフィスワークとは根本的に異なる質の仕事です。体力的にも精神的にも決して楽なものではないと思いますが、覚悟をもって飛び込んでこられる方を待っています。面倒くさいの先にある、ものづくりの醍醐味を一緒に味わいましょう。

メッセージ

山根正紀
(山根酒造場 代表取締役社長)

和醸良酒

世界中から高い評価を得てきた日本のものづくりですが、その素材から日本産という製品は少なくなっているように思います。資源のない国である以上仕方のないことなのですが、ものづくりの多くが原価を抑える価格による競争力を求めた結果、守らなければならなかった大事なものを喪ってきたことに気づかされます。私は酒造りをそういうものにしたくはありません。

酒造りに関わる資源は、米や水だけではありません。一番大事な“資源”は人だと思っています。この業界にいてよく勘違いされるのが、杜氏だけいれば酒ができると思われていることです。

酒造りの世界は職人がチーム編成を組んで行う共同作業です。日本酒を造るプロセスは思いのほか複雑で、工程ごとに専門職があり、それぞれの工程の職人たちのバトンタッチリレーによって、米と水は酒へと姿を変えていきます。

オーケストラに喩えれば、管楽器・弦楽器・打楽器など演奏者がいて、それらを束ねるのが指揮者であり、酒造りで言えば杜氏に当たります。しかし、指揮者はもちろん、優秀なソリストが一人奮闘して演奏したとしても、美しいハーモニーは生まれません。

酒造りも、米の品種や生産地・気温・湿度など日々同じではない様々な状況において、皆で情報共有しながらひとつひとつの工程の精度を上げて仕上げていきます。時には誰かの小さなミスを、次の工程で補う場面もあったりします。これらを「和醸良酒(わじょうりょうしゅ)」と言い、私たちが一番大事している格言です。

酒は嗜好品ですから、味の評価は人によって様々だと思いますが、本当に美味しいもの、「本物」は存在します。私も自分なりにですが、そんな本物の酒づくりを目指してきました。とはいえ、そのためには「こうすればよい」という答えはなく、毎年が試行錯誤の連続です。言ってみれば、酒造りはとても“面倒くさい”仕事です。そして面倒くささの先にある面白さこそが、ものづくりの醍醐味ではないかと思っています。

美味しいお酒は、人の心を動かし、出会いを生み出します。それは私たち酒蔵に従事する者に限らず、その酒を使って商いをしてくださる方や、愛飲してくださる方々から届く声となって伝わってきます。生産者と消費者の距離感が近くなった今日、職人である蔵人であっても、製造に携わるだけが仕事ではなくなりました。酒の素晴らしさを伝えるために、酒販店はもちろん、飲食店さんや一般の消費者の方までも様々な催しを企画される時代です。

造って売って終わりではない、人と人のつながりの世界が酒造りにはあることを知っていただき、ぜひこの世界に飛び込んでほしいと願ってやみません。

前田一洋
(杜氏)

風土や作り手を想起させる酒

酒造業界に入り20年が経とうとしています。かねてよりものづくりに興味があり、個性的で人によろこばれるものが作りたいと思っていました。現在は酒蔵の杜氏として、また酒米生産者として、ものづくりにたずさわっています。

酒米づくりは、なるべく自然に近いやり方、化成肥料を使わない無農薬でやっているのですが、気候・気温の変化・抑草のタイミング・除草方法の違いで生産量が大きく変動してしまいます。それでも自分のやり方を信じて、少しずつ良い酒米に近づければと思います。良い酒米とはお酒の製造工程においてお米の生命力、力強さを感じるものです。

酒造りは個人技のものづくりではなく、言ってみれば蔵にたずさわる人みんなでの団体技です。酒米をはじめとして、精米・洗米・蒸し・麹・酒母・醪を担当する各々が共通認識を持ち協力し合い、意見を出し合いお互いの意識を高めたいと思います。お互いの信頼・尊重がなくては手直し仕事が増えたり無駄な仕事が増えたりで貴重な時間を失います。そうならないためにも寝起を共にし同じ釡の飯を食う共同生活で信頼・尊重が培われたら良いと思います。

日々作業の最中、お米の力強い生命力・酵母や酵素の複雑怪奇な現象を見て感じることがあります。その時の高揚感は小さな喜びでもあり蔵人皆で共有したいものです。飲んだ時にスッーと身体に馴染んでいき、生産地の水・空気・土や作り手の人柄…といった、そんな漠然とした“味”を想起させるお酒を造りたいと思います。

高田昭徳
(精米師)

福岡からIターンでの酒造り

福岡から鳥取に来て初めて日本酒がうまいと思った。その時飲んだ酒が日置桜だ。
スーパーで買ったお米の美味しいこと。それが鳥取県産の米だった。それらの出会いが鳥取に対する興味の始まりだった。

学生時代の土日祝日は田舎の農作業等のボランティアに参加したりして過ごし、平日の夜は日本酒研究会の部室で飲んでは酒談義に花を咲かせていた。大学卒業時には進路はもう決まっていたようなものだった。

思えば即行動。
大学卒業とともに農業法人に就職し、冬は酒蔵に派遣してもらっていた。そんななか、やはり農業は独立、酒造りは日置桜でしたいとの思いが強くなっていった。農業法人を辞め、以前の酒蔵も辞め、日置桜に来させてもらいながら、農地を探してまわることになったのが10年ほど前のことだ。

現在農業は自宅作業も含めると10ヘクタールほどの規模になった。昨年からは酒米の栽培も始めた。

酒蔵での自分の役職は精米師である。精米とは酒造りにおける最初の原料処理で、玄米から白米にする工程だ。米にかかる圧力などを微調整しながらなるべく米が割れないよう、温度が上がらないように仕上げていく。
原料をじっくり見定めるのが本当に楽しく、毎年が勉強の年なのだと実感している。

ただ役職が精米師であるからといって精米だけをやっていればいいと言うものでもないのが酒蔵の面白いところではないかとも思う。皆が自分の役職を持ちつつ皆が揃わないとできないこともあり、お互いが手を出し合わないとできないこともあるからだ。

他の役職の手伝いをしながら良い気づきをもらえることが、自分にとっての勉強にもなる。

酒蔵の仕事の見方は人それぞれ違うかもしれないが、この仕事に携わって本当によかったと思っている。

山根明子
(食と酒の実験室室長 兼 賄い婦)

両輪で考える

酒蔵に嫁いで2年余が経とうとしています。それまでは食に携わる仕事をしていたのですが、40代に入ってからの大きな環境の変化に、ひと通り慣れるだけであっという間に時が過ぎてしまったように感じています。

酒蔵での仕事は外からではなかなかわかりにくいので、これからこの世界に飛び込む方は勇気もいると思いますし、疑問も色々わくでしょう。いわゆるサラリーマン生活とはまったく違った常識に驚かれることも少なくないでしょうが「違い」を面白がれるところがあると強いかな、とも思います。

酒を仕込む造りの時期(11月~3月一杯)、蔵人さん達は蔵にこもりっきりの生活が続きます。その間は他人同士が寝食を共にしながらほぼ休みなく働くのですから、共同生活の面白さもある一方、当然ストレスも溜まります。またものづくりの現場では真剣なぶつかりあいもあり、ピリピリとした空気が漂う場面に遭遇することもあります。

それでも、なぜあえてこんなに手がかかるチーム仕事をするのか?といえば、最後にみんなで一杯のうまい酒を飲むためであり、自分たちの造った酒を「今年はどんな酒ができるのか」と毎年楽しみに待ってくださる方たちの顔が思い浮かぶからではないでしょうか。

日置桜のテーマのひとつに「再現性を求めない酒造り」があります。そもそも酒造りは毎年、米も違えば気候も違い一年一年同じ条件はないのですが、さらに面白いことができないか?と挑戦しつづけるストイックな姿勢があるからこそ、新たな発見も生まれます。そう考えると、この酒蔵で働く人は「面倒くさいこと」のなかに面白みを見つけられる人が向いているのかもしれません。

山根酒造場の追い求める酒を造るためには、米の個性や微生物の都合を尊重したものづくりも譲れない基本方針のひとつです。ただそれは現場で働く人にとっては負荷がかかることにつながる場面もあります。

酒の味を守るために変えてはいけないこと、変わらなければいけないことの両方があるのだと感じています。

今後の蔵の課題のひとつに「ケアする視点を持つ」ということがあります。
人が挑戦をし続けるためには、必ずそれをバックアップする安全基地のような場所や人が必要です。直接造りに関わらない私たちも食事や住環境を少しでも整えることで蔵人さん達が「ホッ」と一息つける場をつくるなど、酒造りの理想だけでなく実生活を支える体制との両輪で物ごとを進める仕組みをみんなで考えていきたいと思っています。

前近代的な主従関係や誰かが無理して山盛りの荷物を背負いこむようなやり方でなく、楽しいことも苦しいこともみんなで分かち合い補い合う世界。

すぐに出来ること出来ないこともあり、受け入れ環境として至らない点もまだまだ沢山あるとは思いますが、酒造りの伝統を新しいカタチで引き継ぐための試みを一緒になって育ててくれる、そんな熱い気持ちをもった仲間を待っています。

募集要項

募集職種
日本酒製造(蔵人)
雇用形態
A)正社員 1名
B)季節雇用 1名
給与
A)正社員 月給 18万円から(製造期間は5万円程度手当が加算され ます)
B)季節雇用 日給 1万円から(11月初旬~3月一杯/朝5時から17時までが基本)
福利厚生
A)正社員
  • 保険(健康・雇用・労災)
  • 賞与 年2回
  • 交通費 全額支払い
  • 住み込み宿舎有り
  • まかない3食付き(冬季製造時期のみ)
B)季節雇用
  • 保険(雇用)
  • 交通費 全額支払い
  • 住み込み宿舎有り
  • まかない3食付き(冬季製造時期のみ)
仕事内容
日本酒製造工程全般
勤務地
鳥取県鳥取市青谷町大坪249 有限会社 山根酒造場 製造蔵
休日休暇
変則(詳細おたずねください)
応募資格
20歳以上40歳未満、経験の有無は問いません 普通自動車運転免許(オートマ限定不可)
※平成29年3月以降に免許を取得された方の場合、準中型免許があり2トン車の運転が可能な方
求める人物像
  • 協調性があり、体力に自信がある方
  • 手仕事のものづくりに興味のある方
  • 将来杜氏になりたいという志(野心)のある方、歓迎します。
  • 未経験者であっても純粋に酒造りに向き合う気持ちのある方ならば、歓迎です。
  • 一年目は雑用や下働きのように感じる仕事も多いかもしれませんが、酒造りは経験を積み重ねていくことで初めて見えてくることがたくさんあります。そのため、できるだけ長くこの仕事をしてゆこうという意志のあるかたを希望します。
募集期間
2017/8/10~2017/9/30
採用予定人数
2名

選考の流れ

書類選考
履歴書(写真貼付)、職務経歴書を下記住所までご送付ください。
〒689-0518

鳥取県鳥取市青谷町大坪249 有限会社 山根酒造場

総務担当:船越
書類選考後、郵送にて選考の結果をすべての方にお知らせ致します。
面接
お電話にて面接日時を相談のうえ決定
採用結果の通知
面接の結果をすべての方にお知らせし、採用が決定。

・取得した個人情報は、採用選考にのみ使用します。
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